2008 12/24
- カゴの中のセンセイ
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彫刻家・大熊氏広が制作した福澤諭吉の座像。これも展示されます。普段は慶應義塾志木高等学校に安置されています。この座像は、福澤生前に福澤を直接モデルに制作されたものですが、福澤自身は、これが人目に触れることを嫌いました。『福澤諭吉伝』という分厚い4分冊の福澤の伝記には、福澤がこの座像を嫌ったことと、「死に顔を他人に見られたくない」と常日頃から言っていたこととの関係に言及しています。自分のよくわからないところで、自分とされる姿が見られることが、イヤだったのでしょう。これはたぶん精神分析の観点から興味深いことのように思いますが、いかがでしょう。
さて、この座像も、展示のため「若い人」に引き続いて搬入されました。木の檻のようなものに入れられた状態で。等身大の福澤の、ちょこんと正座した姿が見える状態で運ばれていく様は、ナカナカ珍妙で、面白いものでした。こちらは玄関ホールに展示されますので、宙乗りはありませんでした。
この座像、福澤の親族がいうところでは、彫刻家は立派な方だったが、福澤が同意したのは「誰かの口車に乗せられた」もので、本人はモデルになるのが耐えられなかった、とのこと。顔の時はしぶしぶモデルになったが、体の時は、書生に羽織を着せて座らせたとか。福澤は完成品が甚だ気に入らず、家中でも似ているという人はなく、褒める人も一人もいない。福澤の妻は、後々まで「似ているのは後頭部だけ」といっていたそうです(『父諭吉を語る』所収の三女・清岡俊の回想)。何とも不憫な言われようですが、細部まで実に良くできていますので、ぜひご期待下さい。皆さんが持っている福澤のイメージにはピタリと重なると思います。しかし、展覧会で多くの人に見られていることを知れば、福澤はゾッとするに違いありません。
わざと座像のアップ画像は掲載しませんので、どうぞ会場で。


