2009 05/ 2
- 白洲次郎と福澤諭吉
-
本日からいよいよ一般公開です。午後には第1回目の記念講演会。慶應義塾大学経済学部教授で、前福澤研究センター所長の小室正紀氏による「股引姿の福澤諭吉」、東京国立博物館元副館長の西岡康弘氏による「福澤門下の美術コレクション」と題する講演が行われました。展示品の「股引」(ももひき)は、あまり深い意味で選ばれたわけではなかったのですが、準備が進むにつれて重みを増し、私にとっても展示品の中でとても重要で愛着のあるものになりました。今日はとうとう、小室氏による講演のメインテーマにまで上り詰めました。
本日は閉館後、福岡アジア美術館に足を運び「白洲次郎と正子の世界展」を鑑賞。一見福澤とは無縁そうな白洲次郎ですが、実は繋がっています。白洲次郎の祖父・白洲退蔵は兵庫県の三田(さんだ)の出身。三田藩は最後の藩主九鬼隆義が福澤と親しく、同藩内には福澤の元で学んだり、出入りする人が多く出ました。その一人には、今回の展示で「もうひとつの福澤山脈」として取り上げている沢茂吉がいます。
九鬼家の資産運用を中心的に担っていたのが白洲退蔵で、福澤と旧三田藩のパイプ役だったともいえます。その縁から、白洲次郎が住んだ武相荘(ぶあいそう)には、福澤の書額がかかっています。そこに記されている語は「束縛化翁是開明」。世の中を司るとされる神(化翁)の領域、すなわち未知の世界をどんどん狭めていくこと、これぞ「開明」である、という意味。日本美を追及した白洲正子とは似合わない言葉のようにも思えますが、両者のコントラストは何だか不思議と調和しているように思えます。
白洲次郎と福澤という二人の「異端」を繋ぐ縁のお話です。

