2009 06/ 3
- 「福澤心訓」は福澤諭吉の作ではありません。
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世に「福澤心訓」と呼ばれる文書があります。その第一に曰く「世の中で一番楽しく立派なことは一生涯を貫く仕事をもつことである」!堂々たる7か条からなり、いろいろな印刷物で今でもよく目にします。
さて、しかしながら、この文章はどう考えても福澤のものではありません。まず文体が違います。書き言葉で「~である」というような表現は、いかにも現代風です。福澤であれば「~なり」といったことになるでしょう。資料的に見ても、この文章に触れた福澤の資料は一切ないですし、周囲の人がこれについて語っているものも見たことがありません。
そういった状況から見て、この文章は戦後に創作されたもののようです。
そもそも「立派なこととはこういうことである」とかといったことを既成のこととして書くことは、福澤が嫌ったと思われることで、(子供向けであればともかく)大人向けにこういうことを書くことは、少し考えにくいことです。
心訓は少しずつタイトルを違えたりもしながら、世の中のあちこちに流布しています。別に害のあることを書いているわけではありませんから、どうするわけでもありませんが、福澤諭吉の作となり、これほど流布しているのは、随分面白い社会現象でもあります。私は居酒屋などでよく見かける「朝機嫌よくしろ」から始まる「親父の小言」の方が好きです(笑)。

